両替やご自宅の掃除中などに旧デザインのお札を手に取るとなんだか物珍しいもののように感じてしまいますよね。
2019年、新元号の発表とともに渋沢栄一氏・津田梅子氏・北里柴三郎氏が顔となる新紙幣のデザインが発表されました。新しいデザインの紙幣が発行されると、現在皆さんが使用しているお札は「旧紙幣(旧札)」と呼ばれることになります。
ご存知の方も多いかと思いますが、約20年おきに紙幣のデザインは刷新されていますので、旧紙幣にもいくつかの種類が存在します。
今回は旧紙幣・旧札の中でも、一万円札に焦点を当てて、現在の価値についてご紹介していきます。
旧一万円札は現在も使用可能?銀行で交換できる?
まず一万円札に関する基本情報ですが、これまでに発行された一万円札は3種類で、それぞれ古いものから、C号券・D号券・E号券という名前が付いています。
最も古いのが、1958年(昭和33年)から1986年(昭和61年)に製造・発行された聖徳太子の一万円札(C号券)。
そして1984年(昭和59年)から2007年(平成19年)まで製造・発行された福沢諭吉の一万円札(D号券)。
2007年以降は現在も発行されている福沢諭吉の一万円札となります(E号券)。



旧一万円札となる上の2種類含め、上記3種類すべて例外なく、現在も使用可能な紙幣となります。
それぞれ、コンビニやスーパー、百貨店、飲食店などいかなる場所においても、額面通り1万円として使用することができます。(※お店が旧札に対応していない自動レジなどを導入している場合、聖徳太子の旧一万円札は拒否されてしまう可能性があるので注意しましょう。)
旧一万円札は銀行などの金融機関で交換・両替が可能
もしも聖徳太子や福沢諭吉(旧デザイン)の旧一万円札を、何らかの理由によりコンビニやスーパーで使用できなかった場合には、銀行などの金融機関で交換、または両替することができます。
ただし、一度、口座に入金するなど手数料が掛かる場合があります。お近くの金融機関にあらかじめ電話などで確認しておきましょう。
なお、旧一万円札以外にも交換・両替可能な旧紙幣は意外と多く、これまでに発行された53種類の紙幣の内、22種類が額面と同額での交換・両替が可能となっています。
旧一万円札は買取可能?買取相場について
一般的に古いお金を現金化するときには、金融機関での交換・両替のほかに、売却・買取も選択肢となり、その場合、ネットオークションやフリマサイト、買取店を利用するのが基本です。
ただし、旧一万円札に関しては、売却ができない可能性が高いのです。というのも、旧一万円札は現在も使用可能な貨幣ですので、フリマサイトやオークションサイトの利用規約によっては、出品不可としている場合があります。また、買取店においても、額面通りの価値となる旧一万円札の買取を行っていない業者がほとんどです。
※新札の場合、オークションサイトで額面の5~20%プラスで売却できる可能性もありますが、手数料が10%程度掛かってしまうためマイナスとならないよう注意する必要があります。
それではやはり現金化するには金融機関での交換するのが得策なのでしょうか?
実はここで注意が必要で、銀行での交換・両替を急ぐと大きな損をしてしまう可能性があります。
それは、旧一万円札は、ある”特定の条件”が揃うと額面を大きく上回るプレミアの価値を持つことがあるためです。プレミア紙幣に該当する場合、換金はNGで必ず古銭鑑定のプロに査定を依頼しましょう。
額面以上のプレミアとなる旧一万円札の特徴
基本的に額面通りの価値がある旧一万円札ですが、以下で紹介するような条件が揃っていると付加価値が付き、額面を大きく上回る額で買取が行われることがあります。
特徴と価値・買取相場をご紹介していきますので、ぜひお手元に旧一万円札を用意してプレミアに該当するか確認してみてくださいね。なお旧一万円札に限らず、すべての紙幣において、以下で紹介する要素に該当すれば、高額査定の狙えるプレミア紙幣となりますので、ぜひ一万円札以外の紙幣もチェックしてみてください。
プレミアとなるポイント1 A-A券・Z-Z券
プレミアがつく一万円札として最もポピュラーなのが「A-A券」「Z-Z券」と呼ばれるものです。これは紙幣に記されている記番号の並びのことを指します。
- A-A券=AxxxxxxA
- Z-Z券=ZZxxxxxxZ or ZxxxxxxZ
紙幣の右下に印字された記番号の最初と最後の文字が同じアルファベットであることがポイントで、UUやYYといったアルファベットでも額面以上の額で取引されることがあります。
A-A券、Z-Z券で美品となれば、CDE号券問わず、10万円程度の買取相場となる場合もあります。

上の画像は福沢諭吉一万円札のAA券です。
このようなAA券・ZZ券の要素に加え、この後解説する珍番号といったポイントが重なると、数十万円といった額で取引されるほど希少価値が高まります。
ぜひお手持ちの一万円札の記番号を確認してみてください。
プレミアとなるポイント2 珍番号(ぞろ目、キリ番、階段など)
こちらも紙幣の右下に印字された記番号に関するプレミアポイントですが、今度は数字の並びに注目したものです。
アルファベットに挟まれた番号が、ぞろ目やキリ番、階段といった珍番号であれば、額面以上のプレミアとなります。
x111111xやx100000x、x123456xといった特殊な番号が印字されていれば付加価値となり、プレミア価格での買取となるでしょう。

◎補足:記番号の文字色によっても価値が変わることがあります
古銭コレクターの方はご存知の方も多いかもしれませんが、記番号の文字色には種類があります。
記番号は、アルファベット記号と数字合わせて8~9桁で構成され、数字の部分は6桁となります。この数字は、000001~900000までカウントされますので、計90万種類が存在しています。
アルファベット記号は先頭に1~2桁、後尾に1桁が付与されます。仮に、AA000001A~ZZ900000Zまでカウントすると、129億6千万枚になるとされています。
そしてこのカウントがフルカウントとなると、記番号の文字色を変えて最初の数字からカウントし直すのです。(つまり、同じ記番号のお札が存在することになります。)
この記番号の変化は、古い順に「黒色」→「青色」→「褐色」→「暗緑」と変わります。そして古銭市場における価値の観点からも、古い色の方が人気があるのです。
プレミアとなるポイント3 エラー紙幣

ごくまれに印刷ずれやインク飛び、裁断ミス、裏面印刷ミス、耳付きといったエラー紙幣が世に出回ることがあります。
エラー紙幣はプレミアの中でも最も高い付加価値となるポイントで、状態が良ければ数十万円といった値で買取が行われることもあります。
そう世に出回るものではありませんが、もし少しでも違和感を感じた場合には、古銭買取業者などを活用して、プロによる査定を受けることをおすすまします。
まとめ
今回は旧札の中でも一万円札に焦点を当てて、交換や両替、価値や買取相場、プレミアの可能性まで解説しました。
おさらいになりますが、
- 聖徳太子のC号券
- 福沢諭吉のD号券(旧デザイン)
- 福沢諭吉のE号券(現行)
上記3種類が、これまでに発行された1万円札で、基本的に現在も使用可能で額面通りの価値の紙幣となります。
ただし、中にはプレミアとなるポイントがあり、数万円~数十万円といった価格で取引が行われる可能性もあるのです。
ぜひ今回ご紹介したようなプレミア一万円札をお持ちの方は、取り扱いに注意して、プロの査定を受けてみてくださいね。